映画館まであと少し、 と言う所で 私は大事な事を思い出した。 「ね、玲央。」 そう呼びかけて、 立ち止まる私に合わせて 玲央も足を止めてくれた。 「ごめん1つ忘れてた。 玲央、お誕生日おめでとう。」 今日のメインイベントなのに 数分でいろんなことがありすぎて 1番の目的を忘れていた。 でも、目を見て ニッコリと微笑むと 玲央はそれ以上に笑ってくれて 「ありがとう。」 一言、そう言ってくれた。 ふふっとお互いに笑い合い、 さっきよりも強く手を握って 今度こそ映画館へと向かった。