今までには見た事も聞いた事もない長谷川さんの

私を睨む目といつもより低い声。

今の私は、辛いあまりこの場から逃げたい。

だけど足が思うように動かなくて震える。


「ねぇ、文化祭の時"私に出来る事なら何でもする"

って言ったわよね?」


長谷川さんに協力をして欲しいと言われて嫌だとも言えなかったその言葉。

ハッキリと覚えている。


「う、うん…」


「この機会にお願いするわ。

これから、一切蒼空くんと話をしないで?」


一切……

蒼空くん…と…?


「え…」


なんで?なんで長谷川さんに

そんな事まで言われなきゃならないの?


「なんで……そんな事まで長谷川さんは

言う権利なんて無いよ…」


私がそんな事を言うと長谷川さんは

もっと私に近づいて来た。


「いいわ。あんたがそんなに言うなら

蒼空くんと話したければ話せばいい。

けど何かしらの罰を与えてあげる。

一言でも話したらね」


そんな……

今の長谷川さんならやりかねない。

でも、罰のせいで蒼空くんと話せないのは嫌だ。

せっかく仲良く出来てるのに…。



せっかく…

蒼空くんか好きだと自分の気持ちに気付いたのに…。