「さんきゅ、やっと分かったわ」


「蒼空くんでも分からない所とかあるんだね」


「まぁな、でも最近は分からないとこがあれば

お前に聞けるからそれもいいっちゃいいんだけど」


ドキッ

蒼空くんにとっては本当にさりげない

その一言でも私の胸を熱くする。


「蒼空くん!おーはよう!」


「朝からうるせえんだよお前は」


「ね、数学のここのとが分からないんだけど

教えて!」


「自分で考えろ」


「自分で考えても分からないから教えてって

言ってんの!」


「じゃあ他の奴に教えてもらえ」


「えー、蒼空くん隣なんだからいいじゃん!」


「隣でも教えるつもりはねえから」


蒼空くんは長谷川さんへの冷たい対応も

長谷川さんは冷たくされても詰め寄る感じは

変わらない。




「はい、じゃあここ問題分からないとこが

あったら班で話し合え」


授業中、先生の掛け声とともにザワつく教室。

教え合う人もいれば雑談をする人も居る。


「ねぇ蒼空く…「チビ、ここ分かんねえんだけど分かる?」」


「え、あ、うん…」


長谷川さんが蒼空くんに話し掛けようとした瞬間

蒼空くんは言葉を遮るようにして私に問題を聞いてきた。

一瞬、長谷川さんの目線と表情が怖く感じたのは…

気の所為かな…?