【晴空 side】


図書室から逃げ出して鞄を取りに

教室に戻ってきた。

はぁ…

私何してるんだろう。

あの毒舌男が宮本くんだったら

良かったっていう期待の気持ちと

そうじゃないって分かった時の少し残念な感じで

複雑な気持ち。

でも、雰囲気やバカとかチビとかいう

あの言い方や冷たい感じの目は

私の見間違えだったのかな?

本人が違うって言ってるから違うのかな…。

本人だったらありがとうって言いたかったな。


そう思いながら下駄箱で靴を履き替えて

校舎を出ると突然サッカーボールが

私の足元に転がってきた。


え、なんでサッカーボール??

そう思ってると声がした。


「ごめんねー!

それ取ってくれるー?」


「あ、はい!」


転がってきたサッカーボールを拾うと

一人の男の子が走って近づいてきた。


「あれ、木村ちゃん?」


その男の子は隣のクラスの宮本 明くん。


「あ、宮本明くん」


「明でいいよ!」


微笑みながら言う彼は

本当に汗をかいてても爽やか。


「そういえナンパ大丈夫だった?」


え?なんで明くんが知ってるの?

もしかして!

明くんが私の事!?


「ハハッ、俺は話し聞いただけで

助けたのは蒼空の方だよ」