俺の彼女に手出すんじゃねぇよ


【蒼空 side】


放課後に図書室でいつものように本を読んで

きりのいい所で読み終えて家に帰ると言うのが

俺の日課。

でも昨日は少し腹が減ったから家に帰った後に

私服に着替えてコンビニで飯を買った。


「は、離して!」


コンビニを出た後

どこからか聞こえてくる女の声。

ナンパか、つまんねぇ事してんな。

女の事なんか気にもしないでそのまま

家に帰ろうとしたその時。

歩き始めた足がまた止まった。

それは、身に覚えのある制服と顔が視界に入ったからだ。

あいつ、確か同じクラスの…

木村 晴空っつったっけな。

いつも猿とつるんでる奴か。



木村 晴空

俺は初めてあいつの名前を聞いた時から

少し気になっていた。


ー入学式ー


「なぁ、蒼空。

漢字はちょっとちげぇけど読み方は

蒼空と同じ名前の可愛い子が居るんだってさ」


いきなり隣に居る明がこんな事を話してきた。


「それがなに」


「相変わらず冷てぇな」


名前がただ一緒なだけでガヤガヤ騒ぐのがおかしい。


「ほら、あの子。

背が小さい子」


明が指を指した方向には

男に囲まれて少し身長が高めの

ビッチみたいな色気がある女と

その横には男から話しかけられても

笑って応えるバカそうなチビ。