「うん!」


詩織のそっか、に答えるように頷く。

詩織の寂しそうな笑顔の心理はわからない。

でもそんなことすぐ忘れてしまうくらい私の頭の中はあの男の子で埋まっていた。


「よし、じゃあ行こっか?」


話しながら教室についた私達は帰り支度を終えて、詩織と2人で教室を出た。


「詩織は今日は自転車?」

「うん、だから校門までだけどね。」


と笑いながら答える詩織。

他愛もない会話を交わしながら詩織と別れの挨拶を交わす。

詩織と別れた後は1人で家路に着く。


…さっきの、なんだったんだろ。


急に胸がきゅーってなって苦しくなった。

同時に顔も火照っていって。



まさか何かの病気?




いやいやいや、まさか、ね。

1人で自問自答を繰り返しながら帰る。

気がつくと家の前にいた。


考えてもわからない答えに溜息をつきながらドアノブに手をかけた。


ドアを開け、家に入るとただいまーとリビングに声をかける。

帰ってくる声はない。


「仕事、行ってるんだっけ。」


私は、そう口に出すと自室へ向かいドアを閉めると、ベッドに飛び乗った。