初めてだった。

人に目を奪われたのは。

もともと人にあまり興味を示さない私はまずあまり周りを見ない。






でも一瞬、ほんの一瞬だけ見えたあなたの横顔は今でも…忘れられない。




気づいたら教室の前でぺた、と座り込んでいた。

胸がドキドキとうるさく鳴り響く。

もしかしたら誰かに聞こえるんじゃないかってくらい尋常じゃない速度で。


「えっ、結花?大丈夫?」


座り込んでいる私に親友の詩織がいつ来たのか後ろから声をかける。

あ、うん。と返事をしながらまだ火照っている顔に手を当てながら立ち上がった。

幸いにも私と詩織以外その場にいなくて座り込んでいた私を不思議に思う人はいなかった。