沈黙が続いた。
いつもなら沈黙でさえ心地よかったのに、今は気まずい。
泣きたくないという自分の信念に反して涙が滲んだ。
引っ込め、そう願うけれどむしろじわじわと目の縁に高さを増していく液体。このままだと涙が溢れるのも時間の問題だ。
「あー、ごめん。大丈夫なんだけど、ちょっと離脱する。先帰ってて。おつかれ。」
少し震えてしまった声でそう伝えると、やや歩みを速めて彼とは違う方向に向かう。
顔が見えなくなったと思った瞬間にこぼれ出す涙。
みっともないけれど、止まらない。
初恋が必ずしもうまく行かない、とは思わない。確かに初恋はアプローチの仕方が下手かもしれない、だけど結局決めるのは相手じゃないか。
最初から両思いだとか難しいし、自分の好きになった人が自分に対して恋愛面で好意的に見てくれるとも限らないんだ。
だから、不思議なことじゃない。振られたことは自分が行動した結果だ。じゃあ行動しないほうが良かったかというとそうでもない。行動しなかったら結果はわからなかった。チャンスがあっても逃してたかもしれない。
行動しなかったことを一生後悔するかもしれない、それで前に進めないのは、私は嫌だ。
……そんな自分を慰めるような、都合のいいことを考えた。
だけど本当に思う。
今は悲しいけれど、多分後でこれも成長の種になる。
告白してよかった、そう思えるように今は思い切り悲しんで、落ち着いたら自分の糧にしよう。
「後悔しない生き方を」

