今日は、みんながソワソワする日。

バレンタインデー。


…の、前日。2月13日。



「…で、あんたはあげるの~?幼なじみくんに」



ニヤニヤしながら聞いてくる親友・由里子(ゆりこ)は、小学校からの付き合い。

中学に入ってすぐ、4個年上の彼氏をゲットした、自称恋愛マスター。



「…あげないよ?」

「くれねぇの?」



私が答えた途端に被さってきた声は、ちょうど話題に上ってた幼なじみ、遥(はるか)の声だった。

しかも、その声がひどく寂しげだったのには、幼なじみなのに気づいていなかった。



「…あげないよ?」



そんな遥の言葉を聞いて、私はもう一度、念を押すように言った。



「…そうか」

「うん」



ここで初めて、少し遥がしょんぼりしてることに気がついた。

…いいじゃん、チョコなんて、毎年他の子から売るほどもらってるし。