私は心底焦りながらも、頭の奥底ではやけに冷静にそんなことを考える。


放課後の校舎はシンと静まり返っていて、二人の間に気まずい沈黙を流した。


私はいたたまれなくなって、視線を数学研究室の窓に向ける。


「…放課後まで、いつもごめんね」


清川先生が優しい声で沈黙を破って、微笑んだ。


「いえ、それは仕事ですから…もう運ぶものはないですか?」


私も、自然に笑みがこぼれていた。


「ああ。…でも、少し待ってくれ」


「?」