「……ありがとうございます」

「え?」

「ありがとうございます、信じていただいて。期待以上のデザインを考えます。至急取り組みます!」

「よかった…よろしくお願いします。さっき会長に、確認日を明日に伸ばしてもらいました。明日の午前中までに、直々に会長宅に届ける事になってます。自分の方でも確認がありますので、10時までにはお願いできますか?」

「もちろんです、本当にありがとうございます」

「いても無駄かもしれませんが、手伝える事があれば手伝います。遠慮なく言ってください」

「えっ。いえ、こちらのミスですしそんな事をしていただくわけには」

「…中村さんと佐伯さんも担当だと思いますけど、彼女達は今何を?」

「……今は、他の作業を」


呆れて物も言えない。
その二人においては信用できかねるので外れてもらうのは構わないが、普通、そうじゃないだろ。

自分が犯したミスを人に押し付けないで自分でできる事をするのが仕事だろうが。

でもそんな事、わざわざ彼女に言う事ではない。



「ですが、中村と佐伯にもう一度責任を持って最後までやる様にきつく言いますので、あの、こちらは本当に大丈夫です。必ず明日の午前中には完成させます!明日もこちらにおりますので、何かありましたら会社にご連絡ください。すみません、それでは失礼します」

「えっ、ちょ」



忙しく通話が切れた。

不安だが、彼女が大丈夫だと言った以上、強引に言うのもあまり良くない気がする。

自分の方もやらなければならない仕事があるし、少しだけ様子を見る事にした。