「……俺、梅ちゃんにプロポーズする」
「え、プロポーズ?俺、そこまで言ってないけど」
「えっ、やっぱいきなりプロポーズとか重いかな。ぶっ飛びすぎ?」
「……いや、7年前クリスマスに彼女置いて逃げてった時点でお前はぶっ飛んでるし、そんなお前を梅は受け入れてんだから、それ位がちょうどいいかもしれない。
結婚が全てじゃないけど、一番目に見えやすい印は結婚だろ。それでお前が安心するかはわかんねーけど、今よりは確実にましになると思う。それに安心するのはお前だけじゃない。梅だって安心させられるんだよ」
「梅ちゃんを?」
「お前が何考えてるのか、あいつに伝わってないかもよ。ちゃんと気持ち伝えて、安心させてやってくれ」
すぐさま聖の家を飛び出て、そのままネットで調べたジュエリーショップに駆け込んだ。
完全アウェーの店にたじろぎながらも、流行りの指輪や定番のものを何個も見て、でも一番梅ちゃんに似合いそうなものを購入した。
梅ちゃんはそのままでも華やかなので、ダイヤの周りはシンプルなものを、しかし周りのリングの部分が細かく絡み合っていて、繊細そうな、彼女にぴったりの指輪だと思った。
ダメ元でもう一度梅ちゃんに電話を掛けたが繋がらなかったので、代わりにメッセージを送る。
『金曜日の夜、梅ちゃんちの近くの公園で待ってます』
その日が彼女の誕生日なのだ。
本当は仕事を終えた後どこかで食事をして祝おうと思っていたのだが、今のままでは難しいと考え、俺は聖に助言それた通り粘る事にした。


