私が向かったのは家や学校から離れた隣町。

そこには私の素を出せる人達がいる。

「あ!心菜ー!」

「恵里!来てたんだ」

「うん、最近はずっと来てるよ」

「そーなんだ」

彼女は坂下 恵里。

歳は私と同じ17歳。

高校には行ったり行かなかったりらしい。

「よっ、心菜。久しぶりじゃん」

「まーね。だって、ここ遠いんだもん」

金髪頭の彼は、赤沢 涼太。

私の1個上で高校には行かず働いている。

「んじゃ、俺と暮らすか?そしたら、毎日来れんじゃん」

涼太は笑いながら言った。

「だーめ。私、あっちではいちおー優等生なんだから」

「ちぇー、嘘つき優等生め」

「なんとでも言えっての。私の演技を見抜く奴なんかいないんだから」

そう。ここでは演技はいらない。