クールなアイドルの熱烈アプローチ

大堂から接触があってから数日、堀原の機転で仕事を休んでいた陽菜は今日から復帰をするも顔色は依然として優れなかった。

「秋村さん、大丈夫ですか?疲れてます?」

鏡越しに心配そうに聞いてくるメイクさんに陽菜は笑って答えようとするが、上手くいかなかった。

「暫く休んでいたみたいですし、無理はしないでくださいね?」

「はい……ありがとうございます」

考えないようにしていても、大堂に言われた言葉が不意によみがえってくる。
その度に強く目を瞑りスタッフの言葉を思い出すようにしている。

“これからもたくさんお話してくださいね。
私達、秋村さんともっと仲良くなって素敵な写真をもっと撮りたいんです”

ーー大丈夫。私はまだ、頑張れる。

準備が済んで撮影に入った陽菜はいつものように指示にしたがってポーズを決めていく。
けれど、目の前に見えるスタッフ達が眉を寄せて何やら耳打ちしていてるのを見て陽菜は内心、上手くできてないのではとハラハラしていた。

「今日の秋村さん、いつもみたいな笑顔がないですね」

「確かに……。
でも、今日の衣装に合わせてクールな感じがしていいかもしれないですよ」

「なるほど、さすが秋村さんですね!
衣装によって表情や雰囲気を変えるなんて、プロって感じです!」

小声で話している女性スタッフ達の会話は陽菜には届かない。
そんなスタッフ達の傍に立って陽菜を見守っていた堀原は、話を耳にしながらフラッシュが光る中で動く陽菜を難しい顔をして見ていた。