クールなアイドルの熱烈アプローチ

「ねえ、陽菜ちゃん。
共演NGってどういうことかな?」

ある日、陽菜は大堂に捕まっていた。

陽菜より後にデビューした新人モデルの子に相談があると持ちかけられ、堀原に断ってから彼女についていってたのだが、着いた先は人気のない廊下。
さらにそこには大堂がいて、彼女はごめんなさいと呟き走って去ってしまったのだった。

ーー堀原さんと越名さんに油断するなって言われてたのに……。

後悔しても遅く、壁を後ろにし顔の両側に大堂が手をついている。
所謂壁ドンの状態なのだが、好意を持っている人以外にされたら恐怖以外のなんでもないことを陽菜は身をもって体験してしまった。

「黙ってちゃ分からないでしょー?
俺、何かしたかな?」

ーー目……目がいつも以上に笑ってなくて怖い……っ!!

陽菜は震えそうになる手をぎゅっと胸の前で握り、おずおずと口を開いた。

「じ、事務所の方針で……詳しいことは何も……」

「事務所?じゃあ陽菜ちゃんから言い出した訳じゃないんだね?」

「……はい……」

これは大堂との共演NGの件に関して誰かに聞かれた時はそう言えと予め堀原に言われていたことだった。
まさかこんなに早く言うことになるとは思わなかったが、大堂は両手をそのままに暫く考えた様子を見せると、いつもの笑みを見せた。