クールなアイドルの熱烈アプローチ

「背中合わせに立って。
陽菜ちゃんは少し上を向いてライト見てて、大堂君は顔を俯かせて……目線はこっち。
いくよ……」

カシャカシャカシャッと何度もシャッター音が鳴る。
撮影と言えど密着した背中からの熱が気持ち悪くて表情が歪みそうになるが、なけなしのプロ根性で表情を崩すことはなかった。

カメラマンの指示通りに細やかな仕草や表情、指先までを意識してポーズをとっていると途中で指先にすっと何かが触れてきた。

「っ!?」

「……撮影中だよ、静かにね?」

悲鳴を圧し殺して見てみると大堂の指が陽菜の指と絡み合っている。

ーー堀原さん……っ!

慌てて陽菜が堀原に視線を移すが堀原は撮影中のためか身動きがとれず、まるで苦虫を噛み潰したような表情をしていた。

「ああ、それもいいね。
じゃあ次は恋人同士のような感じでいってみようか」

「任せてください、得意分野です」

カメラマンの言葉に大堂はにこやかな笑顔で答える。
それから撮影終了までの間、陽菜は大堂のアドリブに振り回され体力的にも精神的にも疲弊してしまい、それを見ていた堀原は強く手を握った。