「嘘っ!?陽菜姉、Kaiserに会ったの!?」

お風呂あがりにリビングのソファーに座り、ミネラルウォーターを飲みながらお互い今日あった出来事を話すのが陽菜と朝陽の日課だった。
そして、今日朝陽が一番飛び付いた話題がやはりKaiserと偶然出会った話だった。

「うん。もう、びっくりしちゃったよー。
衣装がすごくキラキラなんだけど、本人達自身もキラキラしてて……なんて言うか、オーラが全然違ってて凄かったよー」

こう、キラキラーって感じ。と両手を顔の横でヒラヒラさせながらキラキラオーラを具現化させようとしている陽菜を朝陽は羨ましげに見ていた。

「何か話さなかったの?握手はした?サインは?」

「そんなこと出来るお姉ちゃんじゃないって、朝陽ならよーくわかってるでしょー?
いつもの癒し変装セットにタオルを巻き付けた格好のまま壁に引っ付いて、堀原さんとKaiserが話しているのを見ていることしか出来なかったよー」

まさかKaiserの前で額を壁に思いきり打ちつけた。なんて話せずにそう言うと、朝陽は、えー……。と残念そうな声を出していた。

「何でよりによってそんな格好だったんだよ……」

「撮影終了後にいきなり大堂さんが現れたから必死で変装してねー。
そしたらそのままー」

えへへ。と笑っていると朝陽は呆れた顔をしていたがすぐに、ん?と首を傾げていた。

「大堂って陽菜姉と同じくらいにモデルデビューした奴だっけ?」

「そうそう、同期デビューだからか親近感持ってくれてるのかな?
会いたがってくれてるみたいなんだけど……初対面の人と普通に話せる自信ないから、いつも逃げちゃう」

もう少し大人しそうな人となら話せそうだけれど、大堂のようにフレンドリーな人は少し苦手な陽菜は困ったように眉を下げた。

そんな陽菜に朝陽は、ふーん?と返事をすると、それより今日さぁ。と話しだした。
朝陽は話すのがとても上手く、陽菜は驚いたり笑ったりしながら楽しく話を聞いていた。