「お待たせしました。
トロピカルアイスティーとトロピカルフルーツアイス、トロピカルコーヒーです」

植物園の最後に立ち寄ったのはヘアメイクさんが教えてくれたカフェ。
トロピカルな雰囲気と言うだけあって店内は南国ムード、メニューも殆どが“トロピカル”と名前がついていて、見本の写真も色鮮やかだった。

「すごく綺麗ですねー。
フルーツもたくさん乗ってて美味しそう」

スプーンを両手で持ち、キラキラ目を輝かせている陽菜は最早アイスしか見ていないので、コーヒーを一口飲んだ勇人がアイスの美味しさに満面の笑みを浮かべながら食べる陽菜を目を細めて見つめているのには一切気付かなかった。

「アイス、本当に好きなんだな」

「はいっ!特にチョコレートアイスが好きで……ほら、越名さんとコンビニで会った時もアイス買ってたんですよ?
あそこの限定アイスがもう絶品で!!」

アイスについて熱心に語りだしそうになった陽菜は、はた、と止まり首を傾げた。

「……あれ?私、アイス好きってお話ししましたっけ?」

「ああ、それは……」

言いながら勇人は自分のスマホを取り出すと操作し、誰にも見えないように画面を陽菜に向けた。

見ても良いのかと思いながら画面を見ると、そこにはお気に入りのふわもこパジャマ姿で幸せそうにアイスを食べてる陽菜が写っていた。