クールなアイドルの熱烈アプローチ

“勇人、初デートじゃん!
いいか、少しは愛想良くしろよ!”

“勇人さん、陽菜姉のことお願いしますね!
ぼんやりしてて、気になるもの見つけたらフラフラする癖があるから手繋いだ方がいいかもですよー!”

“変装しててもいいけど、サングラスとマスクっていういつもの怪しい顔面武装だけはやめろよー?”

“陽菜姉、結構鈍感だから押しまくってくださいね!!”

と、朝から二人からのメールがひっきりなしに来て勇人のスマホはずっと鳴りっぱなしだった。
あまりにも煩いから途中で音を消したくらいだ。

陽菜の写真が送られてきた日。
拓也に自分の陽菜への気持ちを気付かされてから朝陽のメールがくるまでのほんの少しの時間で自分の中の気持ちを整理してみた。

何度整理してみても結論は一緒で、単純に陽菜の笑顔をいつも近くで見ていたい。だった。
それはつまり、そう言うことなのだろうと勇人は自分の気持ちに納得すれば、後は陽菜にもこっちに落ちてきてもらうだけだった。

チラッと横目で隣を見てみると、陽菜はまだ火照った顔を両手で扇いでいた。
その仕草も、赤らんだ頬も、全てが愛おしい。

初めはこのような感情に戸惑っていた勇人も今ではこの気持ちをしっかりと受け止めている。
欲を言えば、陽菜にも同じ気持ちを自分に向けてほしいが、それは今後の自分の努力次第なのだろうとハンドルを握り直した。