「陽ー菜ちゃんっ!緊張してる?」

「っ!?」

両肩に突然大きな男性の手が乗り驚き肩を跳ね上げると、手の持ち主である大堂は気にしていないようにそのまま肩を揉みだした。

「リラックス、リラックス。
緊張してるといい映像撮れないよー?」

「は、はい……。
あの……手を……」

おどおどと陽菜が見上げるも大堂は聞こえていないのか肩を揉み続け、暫くしてやっと両肩をポンッと軽く叩いてから手を離した。

「はい、マッサージ終了。
どう?少しは緊張解れたかな?」

「あ、ま、まあ……?」

ーー解れたどころか気持ち悪い……。

人見知りの陽菜でなくとも初対面の男性に馴れ馴れしく触られるのは不快に感じるだろうに、大堂は自分に自信があるゆえにかまったく意に介していないようだった。

陽菜は顔が強張りながらも笑顔を向けようとするが、大堂の後ろの方で顔を青ざめさせて慌てているマネージャー、鋭い視線を投げつけている堀原、大堂の行動を優しいと感じてかうっとりしている女性スタッフの顔が視界に入り、陽菜の笑顔は失敗に終わり引きつっただけの微妙な表情となった。