「私……私、もう穴を掘って入りたいですっ!」

「そうか、次は穴に落ちるドッキリ番組に出演してみたいか」

「そんなこと言ってません!!
私、一応モデルなんですからもうテレビに出なくていいじゃないですか!!」

「今のモデルはどんどんテレビに進出していってるぞ」

ーーモデルなのに最初に雑誌を飛び出して、テレビに出始めた人を呪いたい……。

どうにもならなさそうな現実に頭を抱えていると、ふと自分の足元に影が差した。
おや?とおもって頭を上げると、そこにはにこにこと笑う男性がいた。

「……っ!?」

驚いて思わず飛び退きそうになった陽菜の両腕を男はしっかりと両手で握って顔を近づける。

「やっと会えたね、陽菜ちゃん!」

「……え……?」

「大堂さん、不用意に触れられては困ります」

堀原は大堂と呼んだ男の腕を瞬時に掴み鋭い眼差しを向けると同時に、後ろにいる大堂のマネージャーをも睨み付けていた。
大堂のマネージャーはペコペコとお辞儀をしながら慌てて大堂に近付く。

「大堂さんっ。
過度なスキンシップは止めてくださいっていつも言ってるじゃないですか」

「ああ、ごめんごめん。
やっと念願の陽菜ちゃんに会えたからつい」

つい、で誰にでもいきなり触るのかと陽菜はパッと腕を離されると急いで堀原の後ろに隠れた。