「堀原さんっ!何でっ……何で懲りてくれないんですかっ!!」

「何を俺が懲りることがある。
懲りるならお前の性格を懲りろ」

仕事が忙しくなるにつれて堀原の陽菜に対するスパルタが増えてきた気がする。
性格に懲りて人見知りやあがり症が治るなら、とっくの昔に治っているはずだと陽菜は頬を膨らませた。

一度Kaiserとテレビに出てからというもの、PV関連ではない陽菜一人での出演のオファーが相次ぎ、事務所としてもそろそろ広い方面で陽菜を活躍させたいと思っていたところだったらしいので、これは渡りに船と陽菜には内緒で勝手にスケジュールを埋めていったらしい。

収録が録画で融通が聞くことが多いと言っても、やはり陽菜は慣れることが出来ず毎日がいっぱいいっぱいで、周りの共演者に有り難くも助けてもらうことも多いが、雑誌で見る陽菜のミステリアスな雰囲気や言動が実際会うと全く違うと芸人が面白おかしく弄ってくることも多い。

もちろん、それは番組の雰囲気であったり陽菜をリラックスさせる意味合いでの弄りで、悪意のあるものではないのを陽菜自身もしっかり理解してはいる。

だが、全てが終わると陽菜は控え室で、あそこの受け答えは違ったのではないか。とか、何故あんな行動をしたのか。と自己嫌悪に陥って堀原に泣きつく、ということを繰り返していた。