「ん……」

ふと目を開けると、いつものリビングの天井が見えた。

いつの間にか寝てしまったのだろうか?
どこからが夢だったのか………いっそのこと生放送の辺りから夢であってほしいと思いながら、陽菜は寝ていたソファからゆっくり体を起こすと、先程まで朝陽が座っていた場所を見た。

「気がついた?」

「は……い……」

夢ではなかった。
目を向けた先には陽菜が載った雑誌の特集記事を読んでいる勇人が座っており、リビングと仕切りのないダイニングからは楽しそうに笑い声をあげる朝陽と拓也の声が聞こえてきた。

「越名さん……」

「ん?」

「これは一体、どういうことなんでしょう?」

陽菜の固まった表情を見てから勇人は視線を宙にさ迷わせる。
どこから話せば良いのか、簡潔に答えようと暫し思案している様子の勇人から漸く出た答えは……。

「朝陽君と友達になった」

「それ、答えになってません……」

ガックリと肩を落とした陽菜は自分に掛かっていた毛布を畳むと、チラッとダイニングを見た。
朝陽が作ったのだろう簡単な軽食を前に拓也とすごく盛り上がっている。
ふと朝陽と目が合うと、にこやかに手を振られた。

「おはよ、陽菜姉。
まさか気絶するとは思わなかったよ」

「お、陽菜ちゃん、気がついた?
お邪魔してまーす」

ーー軽い……二人ともノリが軽すぎる……!

片手で額を押さえ軽い頭痛に耐えていると、勇人が小さく呟いた。

「さっき、拓也も朝陽君と友達になってた」

ーーだから、それも答えになってません……。