「久しぶり、陽菜ちゃん。
今日もよろしくね」

にこにこ話しかけてきた拓也に陽菜はおどおどと会釈をする。
拓也にはまだ慣れることがなさそうだと思っていると、まだドア付近にいた陽菜の背中を堀原が押し、わわっ!と陽菜が控室に押し込まれた。

「きょ、今日はよろしくお願いします!
あの、足手まといにならないように頑張りますっ」

バッと勢い良く頭を下げた陽菜を拓也は面白そうに見つめる。
また小さく肩を震わせているから笑いを堪えているようだった。

「足手まといになんかならないって。
陽菜ちゃんがPVに出てくれたお陰で新曲の話題も抜群だし、こっちとしては陽菜ちゃん様々だよ」

「や、やめてくださいっ!
曲が良いからであって、決して私が出たからじゃ……」

「あれ?良いのは曲だけ?俺達の歌は?」

「う、歌ももちろんっ!」

陽菜に向けて拝むように手を合わせながら話していた拓也に陽菜は慌てて自分のお陰ではないと主張するが、どんどん拓也のペースに巻き込まれて遊ばれていく。

そんな陽菜と拓也の様子を勇人がじっと見ているのに気付くと、陽菜は微かに頬を緩めて微笑んだ。