俺、秋村朝陽には野望がある。

一つは、陽菜姉を芸能界入りさせて、大ファンであるトップアイドルグループであるKaiserと出会ってもらって結婚までいってもらう。

え?そんなに上手くいくはずがないって?
甘く見てもらっちゃ困るなー。

なんせうちの陽菜姉は極度の人見知りであがり症だけど、顔もスタイルも性格もいい。
その証拠に街を歩いてたら声をかけられて、雑誌の特集に載せられて、後日堀原さんがしつこくスカウトにやって来たくらいだ。

デビュー前も陽菜姉に集ろうとする虫を追い払うのは大変だった。
陽菜姉はまったく気づいてなかったみたいだけどね。
全部俺が近寄れないように脅し……話しておいた。

そんな陽菜姉だからこそ、トップアイドルであるKaiserでも会ったら惚れられるのは当然だと思っていたし自信もあった。

だから、ある夜の日になかなか帰ってこない陽菜姉を心配して探しに行った公園で、二人で話していた怪しい男が勇人さんだと知った時は心の中で思わずガッツポーズをした。

家に来てもらって陽菜姉に向ける勇人さんの視線に確信を得た。

ーー勇人さん、絶対に陽菜姉に惚れてる。

勇人さんに自覚がなかったのは予想外だったけど、行き着くとこには行き着いたし、結果オーライだと思う。

野望通り、陽菜姉に似合う格好良い兄さんが出来たしね。