「それにしても、陽菜ちゃんももう立派な“お母さん”って感じだね」

「え?」

「なんか、前と違って物事をどっしり構えられるようになったって言うか……」

拓也の言葉に陽菜は少し考えて、にこりと笑う。

「守るべき人がいるから、強くなれたのかもしれません」

ほんの少しだけですけどね?と答える陽菜を勇人は眩しそうに見つめていた。

渋る朝陽を拓也が連れて帰っていくとさっきまでの賑やかさはなくなり、ぐっすり眠る我が子を抱っこした勇人が穏やかな表情でソファーに座っていた。

「……寝ちゃいました?」

「ああ……。
朝陽君にたくさん相手してもらったから満足したんだろう」

「……朝陽が相手してもらってたようにも見えましたけど」

苦笑しながら、重たくないですか?代わりますよ?と聞くが、勇人は首を振り愛しそうに赤ちゃんを見つめている。

あたたかく、穏やかな雰囲気が流れるこの空間が陽菜は大好きで、だけど自分も相手をしてほしくて。
陽菜は勇人の隣に座ると、こてん、と肩に頭を乗せた。

「陽菜?」

「ちょっとだけ、ヤキモチ……です」

私も構ってほしいんですよ?と小さく呟くと、勇人は目を細め陽菜の耳元で小さく囁く。

「誰よりも愛してるのは陽菜だけだ」

その言葉に単純だとは思いつつ嬉しくなった陽菜は満面の笑みを向ける。
そんな陽菜に勇人がそっと口付けると、弟か妹、つくってやるか?と言われ陽菜は顔を真っ赤にした。

あたたかい家庭に、新しい家族が増えるのはそう遠くないのかもしれないーー