クールなアイドルの熱烈アプローチ

「陽菜、起きたのか」

「堀原さん……ご迷惑をおかけしました」

「いや、ここまで体調が悪いのに気付かなかった俺の責任でもある。
朝陽君、診断はなんだって？」

「貧血です。
二人とも問題はないそうですよ」

「二人……？」

朝陽の言葉に堀原は一瞬眉を潜めるも次の瞬間目を丸くし、やがて目を細めた。

「そうか……それは、よかった」

「陽菜姉こんな調子ですから、仕事の調整してもらえますか？」

「ああ、負担がかからない仕事にして、量も暫くは減らそう」

「ありがとうございます、ご迷惑かけます」

朝陽が丁寧に頭を下げるのにならって、陽菜も会釈をする。
まだベッドから起き上がることも出来ないので、失礼かもしれないけど目を瞑ってもらおう。

「越名勇人はこのことを……？」

「いえ、まだ……。明日病院に行って分かったら伝えようと思って……。
だからまだ、教えないでくださいね？私が倒れたことも……」

と言う陽菜に二人は頷き返した。

陽菜が倒れたと勇人が知ったらライブどころではなくなってしまいそうだと思った。
堀原は急ぎあの場にいたスタッフ達に誰にも言わないようにと連絡をしてくれたので陽菜は安心してもう一度眠った。