クールなアイドルの熱烈アプローチ

「あ、起きた?」

「……朝陽?」

一面真っ白な部屋と独特な消毒液の匂い。
清潔感のある白いベッドの上で陽菜は目が覚めた。

違和感を感じて左腕を見てみると点滴をされていて、ようやく自分の状況を理解した。

「水分と栄養補給の点滴。
倒れた理由は貧血だって」

ベッド近くの椅子に腰かけていた朝陽は言った。

「明日病院に行くつもりだったんだって?
一足遅かったね」

苦笑する朝陽に陽菜も苦笑で返す。
意識を失った時に床に思いきり体を打ち付けた気がして、そっと右手でお腹に触れるとそれを見た朝陽が笑った。

「大丈夫、問題ないって言ってたよ」

「……そっか、よかった……。
朝陽は気付いてたんだね」

その問いかけに、気付く要素ばっかりだったじゃん。と答えるが、陽菜も気付いたのはつい最近で、勇人でさえ気付いていなかったのにと不思議に思った。

「ずっと思ってたんだけど、朝陽って勘が鋭いっていうか……なんか、すごいよね?」

「いや、陽菜姉と勇人兄さんが鈍すぎるんだよ」

と呆れたように毒づかれて肩身の狭い思いをすると、病院の扉がノックされ堀原が現れた。