クールなアイドルの熱烈アプローチ

「連れてきてもらってありがとうございます。
ライブ、頑張ってくださいね」

「ありがとう。
陽菜は……頑張らなくていいから無理しないように」

どんな甘やかし方だ。と陽菜を迎えに事務所前に出ていた堀原は呆れながら思った。

「堀原さん、陽菜を頼みます」

「分かりました。
ライブ、頑張ってきてください」

その言葉に勇人は頷くと車を走らせ、その車が見えなくなるまで陽菜は見送っていた。
今からライブ会場まで行ったらすぐにリハーサル、本番と休まる時間もないはずだが、無理を承知で温泉に連れていってくれた勇人の気持ちが嬉しくて、陽菜は暖かい気持ちになった。

「堀原さん、私、頑張ります」

「仕事をか？」

「いえ、明日の午前中に病院に行こうと思うので、その診察を」

陽菜がそう言うと堀原は、まず目先の仕事を頑張れ。と言い放った。

今日の仕事は室内でのスキンケア化粧品についてのインタビューだった。

今までの製品と今回の新商品を使い比べてみてどう感じたかという内容だったので、もともとナチュラルメイクなのであまり変わらないのだが指示された通りに化粧を落として素顔の写真を撮る。
すると、カメラマンが心配そうに撮った写真と陽菜を見比べた。