クールなアイドルの熱烈アプローチ

ーー眠い……すごく眠い……。

幻想的にライトアップされた露天風呂に入りながら陽菜は目を擦っていた。

ここ最近微熱は続いているし、本当は眩暈が酷すぎて動けなくなりそうな時もある。
食欲も落ちて、食べ物の好みも変わった。
食べ物を見て胸の辺りがムカムカする時もある。

ここまで特有の症状が出るとさすがの陽菜でも一つだけ思い当たることがあり、陽菜は夜空を見上げると小さく息をはいた。

確か明後日は午前中に時間があったはずだから病院に行ってみよう。
確かめるのは少し怖い気もするけど、このままではいられないし、そろそろ病院に行ったら確実に分かる頃かもしれない。

陽菜はそっと自分のお腹に手を当てると小さく呟いた。

「……喜んで、もらえるかな……?」

きっと喜んでもらえる。そう思うけれど、万が一も考えてしまう。
不安になりそうな気持ちを押し殺して陽菜はもう一度星空を見上げた。