仕事は以前と同じくらいの数まで戻り、テレビなどでは大変だったね。と声をかけてくれたり、騒動をネタにいじってくる人がいたりと、陽菜は慣れない対応に必死の毎日が続いた。

それから数日後、事務所で今後の仕事の話をしていると堀原に今までと違う新しい仕事が入っていると聞かされた。
そして、その仕事には陽菜が以前使ってた変装グッズが必要だと言われ、不思議に思い首を傾げた。

「私の変装グッズですか？
でも、あれは前に越名さんとスクープされてから使ってなくて……」

「先方が言うにはどうしてもあれが必要らしい」

「えっと……似たような物を借りるわけには……」

「いいから、この話が終わったら帰って用意しておけ」

有無を言わさない堀原の剣幕に陽菜は思わず頷いた。

スクープされてからは使うことなく仕舞っていたが、また出して手入れをしないといけない。
しかし何故今度の仕事にそれが必要なのか、何に使うのかと疑問に思うが堀原に聞けないまま、陽菜は仕事を終えてマンションに帰ると大人しく変装グッズを取り出していた。

「それ、久しぶりに見た」

「あ、そうなんです。
なんでも仕事で使うみたいで……越名さんとスクープされたのが私だってバレなきゃいいんですけど……」

不安そうな陽菜に、大丈夫、きっと上手くいく。と勇人が微笑むので陽菜はまた首を傾げつつ頷いた。