「良かったじゃん。大堂が解雇されて陽菜姉や他の人達の誤解も解けて、徐々に仕事復帰しててさ。
これで安心だね」

『うん、みんなと……朝陽のおかげだね。
ありがとう』

「どういたしましてー。
俺もスカッとしたしね」

朝陽はリビングでお風呂上がりの牛乳を飲みながら陽菜との電話をスピーカーにして会話していた。
大堂とのスキャンダルが誤解だと分かってからも家の周りはマスコミでいっぱいだったが、日にちが経った今ではほとんど見かけなくなっていた。

『あのね、騒動も大分落ち着いたし、そっちに戻ろうと思ってるの』

「は!?」

話を聞くと、未だに勇人のマンションにお世話になっていた陽菜はこれ以上迷惑をかけてはいけないと思って数少ない荷物をすでに纏めているらしかった。

「ちょ、ちょっと待って?勇人さんその事知ってるの!?」

『え?まだ言ってないけど……』

「話して!今すぐ話して!?お願いだからっ!!」

朝陽が必死に訴えていると、電話の向こうからインターホンの音がした。

『あ、越名さんが帰ってきたみたい』

切るよー?と言って通話を切った陽菜に朝陽は深く溜め息をついた。

「勇人さん、頑張ってよー……」

俺の野望のために……。と朝陽はソファーの背もたれに背中を預け中を仰いだ。