クールなアイドルの熱烈アプローチ

「……今までも、こんなふうにスキャンダルに巻き込んだ人がいるんですね?」

「ん?ああ、自分もスキャンダルにっていうのは初めてだけどね。
ほとんどの子は俺が知り合いのメディアの人に嘘偽りをそれっぽく話したら面白く記事にして引退に追いやってくれてたけど……それって、俺のせいなのかな?」

なんの悪びれた様子もなく、楽しそうに首を傾げる大堂に陽菜は強く手を握った。

ーー絶対に許さない……許しちゃダメ!!

陽菜が強く思ったその時、ホール内に突如プロジェクタースクリーンが降りてきて大堂が驚いて振り返ると、そこにはついさっき控室に侵入して陽菜の鞄を漁り、手帳を持ち出した大堂の写真が写し出されていた。

「な……っ!?」

「これ、ここの控室の出来事ですよね?
何故大堂さんが私の控室で私の鞄を漁り、私の手帳を盗ったんですか?
……答えてくださいっ!」

言い訳しようのない写真と陽菜の剣幕に一瞬たじろいだ大堂は、ふっと笑うとスクリーンを見ながら言った。

「……盗撮とはいい趣味だね。
その上、窃盗の趣味もあるなんてガッカリだよ」

「何を言って……」

「あれは俺の手帳だよね?女の子っぽいデザインだけど気に入っててさ、暫く使ってたんだけどずっと見当たらなくて。
スキャンダルを逆恨みした陽菜ちゃんが持ってないかと思って悪いと思いながら控室に入って確かめたら、やっぱりあったんだよねー。
駄目だよね、人の物盗ったうえに盗撮して被害者ぶるの」

よくこんなにスムーズに言い訳できるな、と陽菜は違った意味感心してしまいそうになった。

だけど、まだ証拠はこれだけじゃない。
陽菜はもう少しの間、ただ一人で向き合う為に気合いを入れ直した。