クールなアイドルの熱烈アプローチ

蛯名からの連絡があり、全員が行動に移ることとなった。

数日後の着ぐるみショーのイベントに来ていた陽菜はいつものように堀原に護られながらマスコミを掻い潜り、控室で準備をしていた。

「秋村さん、リハーサルお願いします」

「はい、今いきます」

スタッフに呼ばれた陽菜は控室を堀原と出ると、暫く間をおいてから大堂がやって来た。
リハーサルが始まればスタジオ以外に人が少なくなるのは分かっていたので、堂々としていたら意外に怪しまれないようだ。

念のため辺りを見回し扉をノックし、中から返事がないことを確認して素早く室内に入る。
陽菜の鞄まで真っ直ぐ歩くとなんの戸惑いもなく探りだした。

大堂が手にしたのは陽菜が作ったばかりの真新しい手帳。
ニヤリと笑い自分の鞄の奥底に仕舞いこむと、何もなかったかのようにまた堂々と部屋を出る。

人気のない廊下を進み人気がないのを確認すると、先日持っていたもう一冊の手帳をゴミ箱に捨てて去っていった。

その一連の動作全てを言い逃れが出来ないよう撮影されていたとは思わずに……。