クールなアイドルの熱烈アプローチ

「陽菜ちゃんが活動再開ねー。
……どうしよっかなー」

大堂は陽菜の活動再開のネットニュースを見て、どこか楽しげにしていた。

「やっぱここは、もう一回チャンスを与えて……それで逆らったら今度こそ引退してもらおうかな?」

黒い笑みを浮かべながら呟く大堂に蛯名はビクビクしていたが、大堂がさりげなく鞄から出して開いた手帳の表紙に思わず声を声を上げそうになった。
それは、朝陽に探してほしいと言われたデザインとまったく一緒の物だった。

ーー見つけた……!

蛯名は喜びと同時に、行動を起こす準備をしなければならないと己を奮い立たせた。

やはり陽菜の無くしたこの世に一つしかない手帳は大堂が何らかの手を使って入手していたのだ。
それが分かった今、蛯名は然り気無さを装い大堂に伝える。

「そう言えば、秋村さんは今度着ぐるみショーのゲストに呼ばれてるみたいです。
復帰後初めての公の場だってスタッフの方が言ってましたよ」

「へぇ……公の場ねぇ……勿論、日時とかは分かってるんだろうな?」

乗ってきた!と嬉しく思いながら、蛯名は日時と場所を伝える。
前のスケジュールと変わっていないのを確認し、大堂は上機嫌で手帳を閉じた。