クールなアイドルの熱烈アプローチ

「もしこれが、機械でどうにでも出来る音声だと主張されてしまったら……証拠としての力は半減してしまうかな、と思うんです……」

「なるほど、確かに今は何でも出来る時代だしな」

本物そっくりの合成写真やフェイク動画などたくさんある。
もし大堂がこんなことを言ってないと言えば、恋愛のもつれからの陽菜の逆恨みと取れなくもない。

「だから、私にも考えがあって……堀原さん、越名さん、朝陽に許可をもらいたいんです。
そして、みなさんにもまた協力してほしいんです」

「俺達に?」

何か嫌な予感がしているのか、眉を潜めた堀原が陽菜に言葉の先を促す。
陽菜は大きく深呼吸すると、真剣な眼差しを三人に向けた。

「私が仕事復帰することを許してください」

頭を下げた陽菜に三人は驚き、堀原が思わず声を上げた。

「大堂の問題が片付いてもいないのに、復帰したらどうなるか分かっているのか!?」

「分かっては……いないかもしれません。
この世界は今までで経験のない未知な世界ですから……。
でも、それでも……私が出てこないといけないと思うんです」

「……陽菜姉の考え、聞いてみようか。
無謀ならその時点で却下するから」

「うん……これは、みなさんがたくさん情報を集めてくれたから決心できたことです。
そして、さらにみなさんの協力なしでは出来ないことでもあると思います」

そう前置きして、陽菜はたまに言葉に詰まりながら必死に計画を話した。