スキャンダルでスクープされたことが世間でどう報道されているのか知るのが怖かった陽菜はここ暫くテレビをつけていなかったが、今日は一大決心をしたと言った面持ちで、えいっ!とリモコンのスイッチを押した。

映し出されたのは昨夜、変装した陽菜をタクシーに乗せ自らも乗り込んだ様子を写真に撮られた勇人のニュースだった。

『最近、芸能人の熱愛スクープが多いですね』

『そうですね、立て続けに有名モデルの大堂さんと秋村さんの二人、そしてトップアイドルの越名さんですから……世間もまたこのニュースに賑わうでしょうね』

MCの二人が話しているのを最後に、陽菜はいろんなチャンネルを回し見るが、ほとんどがやはり勇人のニュースで一般人との密会愛と言われていた。

「一般人……」

「君の変装は完璧だったと言うことだろう」

今日はオフのためゆっくり眠っていた勇人は陽菜の後ろからテレビを一瞥すると、リモコンを抜き取り電源を落とした。
然程慌てた様子のない勇人に拍子抜けしながらも、陽菜は申し訳なく思いながら眉を下げた。

「どうしましょう……私のせいで越名さんまでスクープされちゃいました……」

「一般人と言われてる正体が君だと分かったら驚くだろうな」

どこか楽しそうに笑う勇人に、そんな悠長なっ!と慌てる陽菜だったが、同じようなタイミングで二人に電話がかかってきたので話が止まってしまった。