クールなアイドルの熱烈アプローチ

「あー、なるほど。
そう言えば勇人さん、家に来た時にも陽菜姉のこと口説いてましたよ」

「え!弟のいる前で!?
いや、親友がいる前で口説いたりイチャイチャするのも信じられないけどさー」

「……誰が親友だ」

「えー!?親友じゃなかったらなんなんだよ!!」

なにやらリビングが騒がしいと思いながら、まだご飯を食べてないと言う二人に陽菜はシチューを温め直していた。
何故朝陽が拓也と一緒に来たのかは分からないが、あの三人が揃えばとても賑やかで、話を聞いてるだけでも楽しかった。

ーーいつか、私もあの三人の中で自然と話せるようになれたらいいな。

それは、未だに拓也に慣れない事と勇人への緊張感が勝ってしまい上手く話せない時がある今の陽菜のささやかな願望だった。

「陽菜ちゃーん!早くこっち来て話そうよ!」

「っ……はーい!」

拓也からの誘いに驚きながらも陽菜は嬉しくなり、二人分のシチューを皿に注ぐと三人の元に戻った。

その後、朝陽と拓也が主に喋り、たまに勇人がからかわれ、促されて陽菜が話すと言う賑やかな時間が流れた。
二人が来たのは陽菜を励ます為だったのだが、その目的は成功に終わった。