クールなアイドルの熱烈アプローチ

「今度、泊まりがけで仕事に行くことになった」

食べ終わった食器を片付けていたらポツリと勇人が呟くものだから、陽菜は聞き逃しそうになり水を止めた。

「あ、じゃあ私、家に帰……」

「駄目だ。ここにいて」

「でも、越名さんがいないのに……」

「俺は、君にずっといて欲しい」

“ずっと”と言われ陽菜は赤面する。
家主がいない家に留守を任されるのは緊張するが、それだけ信頼してもらえてる気もして少し嬉しかった。

「それに、まだ騒動が下火になっていないから……」

「あ……」

勇人の言葉に陽菜は下を向く。
たまに両親や朝陽に連絡を取り、自分の状況を話した後にそっちはどうかと状況を聞いたり、迷惑をかけてごめんなさい。と謝罪しているが家族だからか陽菜が心配することは言ってこない。

ただ母親はオブラートに包みながらも正直に話してくれるので、どのような状況になっているかがわかる。

“あんまり電話がしつこくかかってくるから、電話線抜いちゃったわー。
え、インターホン?居留守よ居留守!宅配業者じゃない限り、私から用事はないわ。
出掛けられない?そんなことないわよー?家出た瞬間に写真撮ってくれるから、おめかしして、この前カメラにピースしちゃたわ”

と言う電話が頻繁にかかってきて、あまり大事に聞こえないように言っているが家にもやはりマスコミが来ていることは分かった。