クールなアイドルの熱烈アプローチ

「越名さん、どうしたんですか?
わざわざ編集部に来るなんて珍しいですね」

以前、Kaiserと陽菜の対談を特集した雑誌の出版社から、原稿が出来たから確認してほしい。とFAXが流れてきて、それを確認した勇人がその雑誌の編集部に訪れていた。

普段は来ることのない突然訪れたトップアイドルに室内は騒然としていて、記事の担当者は奥にある応接室に勇人を案内した。

「突然すみません。
時間もない上に無理な頼みをするので直接会いに来ました」

「無理な頼み、ですか?」

「FAXを送られた記事の件です。
早ければ来週にでも出すとか」

「はい、そうです。
……やはり秋村さんとの記事は今はまずいですか?」

二人以外に人はいないのに、何となく声を落として内緒話のようになってしまう担当者に勇人は、いえ。と一瞬目を伏せゆっくり瞬きすると、真っ直ぐな視線を向けた。

「記事を確認しましたが、彼女の弟の話から途中が全てカットされてましたよね?」

「あ、そうですね……さすがにそのまま記事にすることはできませんでした。
越名さんの想い、全国民に伝わっちゃいますから」

恐らく対談の日の事を思い出しているのだろう担当者が苦笑すると、勇人は“無理な頼み”を口にした。