「じ、実は近頃の大堂の自由奔放な態度に事務所も怒っていて……もちろん、私の大堂の管理や指導不足もあったんですが……」

「新人をあそこまでつけあがらせてんだから、そう思われても仕方ないよねー。
ま、あいつの場合はもともと自己評価高すぎなところに、さらに人気出て天狗になっただけなんだろうけど?」

「……返す言葉もございません」

朝陽の刺々しい言葉に冷や汗が止まらないらしい蛯名はハンカチで度々額を拭く。
まだ聞いているだけで口を挟んでいない堀原も朝陽の遠慮のない言葉にうっすらと冷や汗をかいていた。

「それで、大堂を解雇させるにも何か理由がないと難しくて……」

「理由?スキャンダル起こしてるじゃん」

「あれだけじゃ理由にならなくて……うちの場合、あれで大堂の人気が上がっ……」

「“あれだけ”……?」

瞬間、朝陽の声が地を這うような低い声になり堀原と蛯名は凍りついた。

「人一人無駄に休養に追いやっといて“あれだけ”って言えるのか?」

「す、すみませんっ!間違えました!!口が滑りました!!」

朝陽の気迫に慌てる蛯名はすごく話しにくそうだった。

無理もない。朝陽は陽菜の絶対的な味方で、陽菜の敵となりうる者は容赦なく叩き潰す性格だったのだから。