クールなアイドルの熱烈アプローチ

「明日には新聞や雑誌にもスクープされて、陽菜ちゃんが行くところ全てにマスコミが押し掛けると思う」

「マスコミ……」

「そして、事務所や……恐らく陽菜ちゃんの家にもマスコミが来たり電話が鳴り続けると思うんだ」

陽菜は目眩がした。
事務所や何も関係のない家族にまで迷惑をかけるなんて、耐えられそうになかった。

「だから、陽菜ちゃんにはここに来てもらったんだよ」

「こ、こ……?」

「俺の家。君の避難場所」

ふと、バルコニーから見える外を見やるとタワーマンションだけあって地上から遠そうだった。
確かにここなら外から見えないし、誰かが話さない限り陽菜がいるとは分からないかもしれない。

「あの、事務所がなんと言うか……」

「朝陽君が話してくれるそうだ」

「両親に……」

「御両親には許可をもらってる」

「「え?」」

勇人の言葉に陽菜と拓也の驚きの声が合わさった。
何でも、陽菜と植物園に行くことになった時にはすでに朝陽づてに陽菜の両親と連絡を取り合っていたらしい。

「お前の好きな子に関しての行動力、ホントすごいわ……」

半ば呆れ気味の拓也を放って、勇人は陽菜に、他には?と聞いてきた。

「あ、あの……越名さんのご迷惑に……」

「ならない。
むしろずっと、ここに居てほしい」

「もう降参です。勘弁してください」

そう陽菜が思う前に、テーブルに突っ伏した拓也が両手を上げて声に出していた。