クールなアイドルの熱烈アプローチ

「朝陽、私ね……失敗しちゃった……」

「ん?」

「大堂さんの言うことに逆らったから、こんなことになったみたい……」

「うん」

「でも、私は今の事務所が好きだから……」

「うん」

「でも、迷惑かけちゃった……」

「迷惑って、誰か言ってた?」

脈絡のない陽菜の話を遮ることなく朝陽はずっと頷いてくれていたが、ふとした時の陽菜の言葉に反応した朝陽の問いかけに陽菜は小さく首を降った。

誰もまだ陽菜に迷惑だと言ってない。

けれどまだ言ってないだけで、いつか言われるかもしれないし、心の中ではいつも思われてるのかもしれない。
暗い思考にどっぷりとはまりそうになった時、朝陽が徐に口を開いた。

「大堂の言うこと聞かなかったの、後悔してる?」

「後悔……」

あの時歯向かったから、大堂は陽菜がスキャンダルになるようなことをしたのだろう。
一般人もスタッフもいる大勢の前で……。
そのやり方に苛立ちはしつつも、今となってはどうしようもできない。

これが大堂のやり方で、言うことを聞かなかった結果だったとしても……。

「後悔して、ない……後悔なんて、しない」

人を見下すばかりのあの人の言うことだけは、絶対に聞きたくなかった。

「……強くなったじゃん、陽菜姉。
今までならこのまま自分の殻に閉じ籠っていただろうにね?やっぱり無理矢理に近い形でもモデルという人の目にさらされて、複数の人と関わる仕事をさせてよかった」

未だに人見知りであがり症の陽菜は自分が強くなったという自覚はなかった。
けれど、他でもない朝陽が言うのならそうなのだろうと陽菜はほんの少し微笑もうとして、失敗した。