最低な君は、今日も「大嫌い」を口にする










頭が酷く痛む。

無理やり目をこじ開けると、自分の部屋の天井が見えた。
閉じられたカーテンの隙間から見える景色は真っ暗で、今が夜だと分かった。
声を出そうとして喉が詰まり、けほ、と渇いた咳が出た。

どうやら熱を出してしまったらしい。

…けど、どうやって家に帰ってきたのか全く思い出せない。

痛む頭で思い出したのは、私に手を伸ばす市ノ瀬君の姿で。

なんであんな悲しそうな顔してたんだろう。
あんな顔、初めて見た。

ぼんやりする頭のまま、再び目を閉じた。




「…おねーちゃん、」

控えめなノックの音と一緒に真湖が顔を覗かせる。
そのまま入ってきた妹の手には、湯気を立てるお粥の器があった。

「食べられる?しんどい?」

心配そうに眉を下げた真湖に「心配ないよ」というように笑いかけて、お礼を言った。

熱いお粥をレンゲですくって冷ましながら、真湖に聞いてみた。

「ねえ真湖、私どうやって学校からここまで帰ってきたの?」

「なんかね、おにいちゃんがおんぶして送ってくれたの!
ママもパパも居ないみたいだったからオレが送りましたって言ってたよ」

おにいちゃん、か。

それって…


「おにいちゃんてさ、どんな人だった?」

「んー、おっきくてー、髪の短いおにいちゃんだったよ!あれっておねえちゃんのかれし?」

ませた口調で言った真湖にデコピンをお見舞いして、お粥を口に運んだ。

…千藤君か。

お礼言っとかないと。

きっと心配してるだろうな。