「ちっちゃいなー、田宮さんは」

「…ケンカ売ってんの?」

「売ってない売ってない、ほめてるの!」

そう言って両手で私の頭をかき回す。
まるで犬でも撫でるみたいに。

私は犬じゃない、そう思いながらじっとりと千藤君を睨む。

「…可愛いなあ」

「ん?なんて?」

「……なんでもないでーす」

そう言って、くしゃくしゃになった髪の毛を手で梳きはじめる。

…何がしたいんだろう、この人は。


「あのさあ、千藤君私のこと子供扱いするけど私同い年だからね?まだ身長伸びるからね?
…多分」

「ぶっ、多分なんだ」

噴き出した千藤君は大きくなれるといいねえ、なんて言いながら私の髪を整えていく。
この子供扱いはこの先も続きそうだな、とため息をついた。