「田宮さんの趣味は?」
「なにその質問、お見合いみたい」
「いーから!好きなこととか!」
「好きなこと…んー…ご飯作ること、かな」
考えた末にご飯作ることが趣味ってなんか寂しい奴。
我ながらそう思った。
千藤君は感心したように目をまん丸にしていた。
「じゃあさ!パンとか作れたりする?!」
「パン?…作れないことは無いと思うけど…」
「やった、俺手作りのパン大好きなの!今度作ってよ」
まだ作るとも言っていないのにはしゃぐ千藤君に苦笑いしてしまう。
パン、かあ。
簡単なのだったらすぐ作れるかな。
楽しみだなあ、を連呼する千藤君を見ながらそんなことを考えていた時だった。
「…あれ?田宮さん?
こんなとこでなにしてんの?」
聞き慣れた、低い声。
反射的に身体が固まる。
目を見開いたまま立ち止まった私を怪訝そうに見た千藤君は、私の顔を覗き込んだ。
「田宮さん?大丈夫?
…顔色やばいけど」
一気に顔が曇った千藤君を見て、自分がどれだけ酷い顔をしているのか理解する。
恐る恐る振り向けば、少し離れたところに長い人影が見える。
街灯に透けて見える茶色い髪はいつもより色素が薄く見えた。

