「ここにいたの?探したよ。
ホームルーム始まっちゃうよ」

後ろから聞こえた声に身体が固まる。

振り向くともちろんそこにいたのは市ノ瀬君で。

ふてぶてしく腕を組んで此方に歩いてくる彼は相変わらずニヤついていて。


「なに、髪洗ってたの?
生卵ぶつけられてたね、どんまい」

そう言って私の頰を摘んだ。

首にかけていたタオルに気づいた様に、

「あれ、タオルなんて持ってたの?運良かったね」
なんて言って鼻で笑った。

タオルを貸してもらったなんて言ったらまたややこしいことになりそうだ。

千藤君のことは黙っておこうとそう思った