「別にさ、いいんだよ。感情なんて」 「えっ?」 どういうこと? なんで? 「今は感情が上手く表に出せないかもしれないけど、いつかきっと自然に出せるようになるし、それに────感情が出せなくても、それでも傍にいてくれて彩華ちゃんを支えてくれる人が本当に大事な人なんだと思うよ」 あたしを支えてくれる人 「あたしにも……そんな人が見つかると思いますか?」 「うん。きっと見つかるよ」 瀬崎さんの大きな手があたしの頭をそっとなでた。