「あ、じゃあ。あたし、帰るね。門限やばいし。彩華、またね!」


夏菜子の声に反応して、あたしは彼の目から逸らすことが出来た。


「あ、うん。ばいばい」


夏菜子は手を振りながら小走りで電車に乗って行った。


「君は帰らないていいの?」


「あ、えっと、帰ります」


「そう。1人で大丈夫?」


「……はい。ありがとうございます」


あたしはそれだけ言って、走り出した。


家に帰るなり、あたしは部屋のベッドにもぐった。



なにこれ。


まだ熱い。


走った時とは違う胸の苦しみ。


まだドキドキいってる。


こんな感情知らない。




その日はなかなか眠れなかった。