「美樹・・?」 郁美の心配そうな声がして顔をあげる。 わたしは―――泣いていた。 泣くつもりなんてなかった。でもそれでもやっぱりわたしは海斗が忘れられなかった。 浴衣だってなんとなく着たくなかったなんて嘘。 本当は1年前海斗から似合ってるっていわれた言葉を思い出すから。 1年前は当たり前のようにいた海斗がいまはいないこの光景がどうしてもつらくて。 やっぱりきちゃいけなかったんだ、わたし。